猫の尿路閉塞に対する会陰造瘻術

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尿路疾患

こんにちは。

猫ちゃんと一緒に暮らしている皆さんで下部尿路疾患(膀胱〜尿道に起こる病気の総称)を経験された方は沢山いるのではないでしょうか?

今回は、その中でも尿道結石による尿路閉塞を繰り返したケースで行うことが多い会陰造瘻術についてお話させていただこうと思います。

会陰造瘻術は男の子の陰茎(おちんちん)を取って女の子にする手術です。(猫の尿道は陰茎部の尿道がかなり細くなっているので一番閉塞を起こしやすいのです!)

まず、去勢していない男の子であれば同時に去勢手術を行います。陰茎から陰嚢の周囲を皮膚切開し、周囲から陰茎を剥離していきます。左右の筋肉(坐骨海綿体筋と坐骨尿道筋)および陰茎の後ろにある陰茎靭帯を切離すると陰茎がグッと手前に引き出されます。(尿道球腺と言われる組織の奥まで尿道を引き出すことが手術成功の秘訣ですね。)

後は、陰茎後引筋を切除して、尿道を切開し、尿道を周囲の皮膚に縫合しながら新たな太い尿道口を整形して終了です。

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術後の管理が大変なこと、通常時よりも尿路感染のリスクが高まることがこの手術のデメリットですが、何回も尿路閉塞の苦しみを味わい命の危険にされされた猫ちゃんを救ってあげることができる手術です。

尿路閉塞は飲水量と尿量の減る冬季に多いとされていますが、どの季節にも起こり得ます。

何回もトイレに行ったり血尿が繰り返されるときには、下部尿路疾患のサインなので見つけたときにはできるだけ早く病院に相談してくださいね。

獣医師 澤