病気

犬でよく遭遇する膀胱結石

今回は、わんちゃんでよく遭遇する膀胱結石について説明します。

膀胱結石には、その組成成分によっていくつかの種類がありますが、その中でも多いのはストルバイト結石シュウ酸カルシウム結石というものになり、両者を合わせると全体の70%以上を占める割合になります。今回はこの2種類の結石についてご説明いたします。

1.原因

・ストルバイト:主に尿中の細菌感染、蛋白質やマグネシウム含有の高いフードなどが挙げられます。

・シュウ酸カルシウム:シュウ酸多く含む食事、高カルシウム血症、原発性副甲状腺機能亢進症などが挙げられます。

また、共通して飲水量が少なくて尿が濃い環境下は結石を作りやすくします。

2.症状

どちらの種類の結石でも、症状としては血尿頻尿を主訴として来院されるケースがほとんどです。これらの症状は細菌性膀胱炎とも共通した症状になります。時に、結石が尿道に詰まってしまい(尿路閉塞)、尿が出ないという症状が出ることもあります。

3.検査

超音波検査やX線検査にて、膀胱や腎臓の結石の存在・大きさを確認します。

(X線検査では確認できない種類の結石もあり、結石の種類を鑑別するうえで重要になります。)

次に尿検査を行い、結石の結晶の検出の有無の確認と、その結晶の形から、種類を推定していきます。

Fig 38-4SSFig 38-4DD

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.治療

結石の種類によって治療方針が異なります。

ストルバイト結石は、食事療法によって溶かすことができるので、まずは療法食による治療から開始します。

一方、シュウ酸カルシウムは療法食で溶かすことができないため、内科療法の目的は、飲水量を増やしたり、尿のpHを食事や薬で調整することで結石を大きくしない・増やさないようにすることになります。

どちらの結石でも、一定期間(1~2カ月)の内科管理で反応が悪い場合は、外科手術で直接結石を摘出することになります。特にオスの場合は、結石による尿道閉塞が起こりやすいので、そうなってしまう前に適切な治療を施してあげることが重要になってきます。

万一尿路閉塞になってしまった場合は、命に関わる危険な病気になります。皆さんの愛犬が血尿や頻尿、もしくは尿が出ていないと感じられたときは、ぜひ早めの受診をお勧めしたします。

今回紹介した2種類とは別の結石にも最近遭遇したのですが、それはまた今後のブログで紹介していこうと思います。

 

獣医師 木村(プリン体しか勝たん)