病気

潜在精巣について

今回は、去勢手術に関わる話、「潜在精巣(せんざいせいそう)」についてお話します。

子犬ちゃんの混合ワクチン接種の際などに、最近よく遭遇することが多かったので、今回はこのテーマを選びました!

オスのワンちゃんの場合、おおよそ生後30日、大型犬では3~4カ月以内に睾丸がお腹の中から陰嚢内に降りてきて、触知できるようになります。これを精巣下降と呼ぶのですが、生後6か月齢を超えても陰嚢内に左右いずれかの精巣が触知できない場合、潜在精巣と診断します。

6カ月齢までに精巣下降が認められない場合、その後においても降りてくる可能性が低くなります。潜在精巣は、片側に発生する場合と両側に発生する場合があります。また、その隠れている場所の違いから皮下陰睾(いんこう)腹腔内陰睾(いんこう)の2種類に分類されます。潜在精巣になってしまっている睾丸においては、将来の腫瘍発生率は正常な睾丸の9.2~13.6倍にもなるとされています。

潜在精巣の診断を受けた場合は、早期に潜在精巣を外科的に摘出することで、治療することができます。

子犬ちゃんを迎え入れた際は、ワクチン、予防薬、しつけ、去勢・避妊手術など多くのことに気を使っていかなければならなく、お世話が大変な時期でもありますよね。

特に、生後6カ月近くになって、そろそろ去勢手術を考えられている時期の方は、ぜひ一度わんちゃんの陰嚢を自宅でも確認してみましょう。あれ、一つしかない?どっちもない??と思われたときは一度相談して頂けたらと思います。

獣医師 木村