病気

肛門周囲腺腫

みなさん、おはようございます。

今回は、肛門周囲腺腫という腫瘍についてお話したいと思います。

まず、肛門には肛門周囲腺(皮脂腺)があり、肛門意外にも包皮や尾、背部の皮膚にも存在します。この肛門周囲腺は男性ホルモンであるテストステロンの刺激により良性の腫瘍化を来すため、肛門周囲腺腫は去勢をしていない高齢の雄で最も多く認められます。また、稀ではありますが雌での発生も認められます。

一方、同じ肛門周囲に発生する腫瘍として肛門周囲腺癌が挙げられます。ただし、この発生については性ホルモンとの関連はなく、どの性別でも認められ、肛門周囲腺腫と比較して発生頻度も低いとされています。

この2つの腫瘍は細胞診だけでは見分けがつけにくいのですが、増大速度や去勢の有無、雌雄どちらで発生したかなどを加味した上で最終的には切除後の病理検査で確定診断することになります。

治療のメインは精巣摘出術(去勢手術)となります。また、同時に肛門周囲にできた腫瘍の切除を行うことがほとんどです。(ただし、ごく小さな腫瘍に関しては肛門周囲腺腫であった場合に限り、自然退縮する場合が多いとされています。)

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写真は手術前の状態と切除後の状態です。

もし、自宅のワンちゃんのお尻に腫瘍性病変を確認したらお気軽にご相談してくださいね。

獣医師 澤