咀嚼筋筋炎って何?

あけましておめでとうございます。
今月はちょっと珍しい症例についてご紹介しようと思います。

皆さんは『咀嚼筋筋炎』という病気について聞いたことはあるでしょうか?
『咀嚼筋筋炎』とは、自己免疫性疾患の一つであり、タイプ2M筋繊維(咀嚼筋群に特徴的な筋繊維)に対する自己抗体産生に伴った咀嚼筋群の炎症性疾患のことです…この時点でもう難しそうですね。
もっと簡単に説明すると、本来自分の体を守っているはずの免疫が自分の体の一部を攻撃してしまう病気で、その攻撃対象が咀嚼筋でしたよって感じです。

犬種や年齢を問わずに発症しますが、特に若齢の大型犬で発症が多いとされています。
症状は急性期と慢性期と分けられます。
急性期は咀嚼筋の強い炎症を伴うため咀嚼筋の腫脹や開口時の疼痛が認められます。咀嚼筋群の一つである翼突筋の腫脹と炎症によって眼球突出や結膜炎が起こることもあります。
慢性期になると炎症は収束しますが筋繊維の繊維化が進み、筋肉の萎縮と共に開口範囲が狭くなっていきます。

診断にはまず、上記の臨床症状+他の病気の除外(顎の骨折や感染など)が必須となります。
次の段階として血液検査でCPK,CRPの上昇の確認、さらに疑いが強まれば抗タイプ2M筋繊維抗体価測定(慢性期で診断がグレーな場合は咀嚼筋の生検による病理検査と筋電図検査を追加)が必要となります。

予後については、急性期であればステロイドが奏効しやすいのですが、慢性期では咀嚼筋の繊維化と壊死が進行しているために開口障害が残り摂食困難となることがあります。

珍しい病気ではありますが、早期発見が重要となるため、もしご自宅のワンちゃんの症状に違和感を感じたらできるだけはやくご相談くださいね。

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獣医師 澤

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