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犬の乳腺腫瘍

こんにちは!新年が始まりまして、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

僕は今年もさらに仕事に勉強に、そして趣味に打ち込んで行けるように日々奮闘中です!!笑

今回は犬の乳腺腫瘍についてお話しします。未避妊に発生する腫瘍ではもっとも多く、特に7~13歳の高齢に多いと言われています。現時点では卵巣から分泌される雌性ホルモンが腫瘍の発生に大きく関わっているのではないかと言われています。


<特徴>

犬の乳腺腫瘍では良性と悪性の割合がどちらも50%程度と言われています。悪性のものでは50%が転移している可能性があります。腫瘍が3cmを超える、増大スピードが早いなど、またより高齢や大型犬の方が悪性が多いとも言われています。

基本的には乳腺組織にしこりができ、来院されるケースが多いです。しかし、悪性の場合は腫瘍領域の出血や壊死を起こしたり、リンパ節や肺などに転移して呼吸困難に陥ったりとより重篤な症状となることがあります。

<診断>

腹部のしこりが見られたら、まずは触診針生検による細胞診を行います。これにより乳腺腫瘍か、またそれ以外の腫瘍かどうかを診断します。ただし、細胞診のみでは乳腺腫瘍が良性か悪性か判断できないため外科的切除による病理診断を行います。また、手術前のレントゲン検査にて他臓器への転移の有無を評価します。

<治療>

基本的には外科的切除を行います。腫瘍の大きさ、数、位置によって部分切除(一部のみ切除)、領域切除(腫瘍の位置と血管やリンパ管などの分布が多い領域の切除)、片側乳腺全切除術(腫瘍が存在する側の乳腺を全て切除)、左右乳腺全切除術(左右に腫瘍が存在し、より悪性が強く疑われる場合の左右の乳腺全切除)の中からご家族と相談して術式を決定します。その他腫瘍の悪性度が高いと判断した場合、転移しており外科手術が不可能な場合などに化学療法(抗がん剤治療)などを行う場合があります。

乳腺1 乳腺2

※写真は領域切除の術式を行なっています。

<予防>

乳腺腫瘍の発生は雌性ホルモンが関与している可能性から、早めに避妊手術をすることで乳腺腫瘍の発生率が減少する予防効果が期待でき、初回の発情前であれば0.05%、2回目までなら8%、2回目以降では26%という研究結果があります。2歳半以降ではほとんど予防効果は期待できないとされています。そのため、早期の避妊手術を当院ではお勧めしています。

 

新しくワンちゃんを迎えた方はぜひ一度ご相談ください!!

獣医師 日向野