何を飲み込んだの?異物事件簿①

動物
種類
誤食

みなさんこんにちは、獣医師木村です。

今月は、この時代を感じる症例に遭遇したので紹介します。

オーナー様の情報によると、飼い犬のワンちゃんが、夕方のお散歩中に球状のふわふわしたものをつい2時間前に食べてしまったとのことでした。

これは!誤食!ではどんな順序で解決していこうか、と考えるのですが、飲み込んでからまだ時間が少ししか経過していないので、まだ胃の中にある可能性が高そう、そして問診情報から鋭利なものである可能性は極めて低いと判断し、催吐処置から入りました。が、ワンちゃんは一生懸命に吐き出そうと頑張ってくれましたが、出ません。。。。何度か挑戦するも、やはり出なさそうということで、次は内視鏡下での摘出に挑みました。

翌日の処置になったので、念のためレントゲンで胃の中にあることを確認しました。

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運よく、レントゲンでわかる異物でしたが、これはなんだろう?ふわふわだけど、チェーンとかが付いてるのか、と、そしたらキーホルダーかなにかだろうか、と思いそれならそこを内視鏡で狙ってみよう!とのことで、内視鏡検査を実施しました。

しかし、想像していたような「ひも状の掴めそうな構造」は見当たりません。仕方ないので、どこか掴みやすいところを選んで、何度も摘出に挑みましたが、どうしても胃の入り口(噴門部と言います)で引っかかってしまい、摘出することはできませんでした。

そうなったら最終手段になります。胃切開をして異物を取り出すことにしました。

無事、異物を取り出すことに成功したので、何だったのだろうと確認すると、

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ひと目では何か判別できませんでしたが、これはまさに、昆布巻き!ではなくマスク!!!

これで、レントゲンで写った部分が、鼻の形に合わせるあの部分だったのだと合点がいきました。

この子は、5日間の入院を経て、無事元気に退院していきました。

時系列で説明していったのですが、異物症例ではおおむねこの順序をたどることが多いです。

催吐処置→だめなら内視鏡→だめなら胃切開

コロナ下のこの状況で、マスクの落とし物やポイ捨てが多いのでしょうかね。僕も時々見かけますが、これは使い捨て用じゃないよね?というものもよく目にしますね。ワンちゃんとのお散歩のときは、道端に落ちているものにはご用心ください。また、ねこちゃんもマスクが好きな子が多く、誤食しやすいようなので家の中も油断なさらぬよう!お願い致します。

獣医師 木村(ユニクロエアリズムマスクしか勝たん)