病気

巨大食道症

おはようございます。
今月は巨大食道症という病気についてお話したいと思います。

巨大食道症とは食道の運動性が低下して、食道がび慢性に拡張した状態です。巨大食道症は先天性、後天性2次性、後天性特発性に分類されます。
先天性巨大食道症は生後10週齢頃までに診断されることが多く、シェパードやラブラドールなどの大型犬で発生が多いとされています。また、ミニチュアシュナウザーやフォックステリアでは遺伝的な素因が報告されています。
後天性2次性巨大食道症は基礎疾患によって2次的に巨大食道症を起こした病体です。基礎疾患は重症筋無力症であることが多いですが、発生はまれです。その他の基礎疾患としては、重度の食道炎や裂孔ヘルニア、アジソン病、多発性筋炎、自律神経失調症などがあります。
上記のような基礎疾患がない場合に起こった後天性の巨大食道症を後天性特発性巨大食道症と呼びます。巨大食道症の多くがこのタイプであり、ミニチュアダックスフンドでの発生が多いと報告されています。

臨床症状の多くは突出とそれに続く誤嚥性肺炎です。診断はバリウム造影レントゲン検査で食道の運動性や胃内への内容物の移動について評価することで行います。巨大食道症を疑う場合には、先述した基礎疾患の有無についても精査していくこととなります。

治療は基礎疾患がある場合はまずそちらの治療で改善が認められるかを確認することからです。ただし、巨大食道症自体には特異的な治療法がないため、栄養治療(立位食や胃瘻チューブからの給餌)と誤嚥性肺炎に対する治療が主体となります。

ほとんど見かけないような珍しい病気ではありますが、食後の突出と肺炎を繰り返すような症状がある場合は、ご相談くださいね。

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獣医師 澤