病気

多発性筋炎

おはようございます。
今月は多発性筋炎という病気についてお話ししたいと思います。

多発性筋炎とは、全身性の炎症性ミオパチー(筋症)です。ミオパチーとは筋肉の疾患のことであり、この中で炎症を伴うものを筋炎と呼びます。また、筋炎は感染(トキソプラズマやレプトスピラなど)が原因となる疾患と免疫が関与すると思われる非感染性の疾患に分類されます。
多発性筋炎は、体幹や四肢、顔面などの全身の骨格筋に広範囲に認めれれるリンパ球と組織球系の細胞浸潤を伴った免疫介在性疾患と考えられています。犬では年齢、犬種に関係なく発症しますが、大型犬や高齢犬で好発する傾向ににあると言われています。

症状は、全身の筋力低下による運動不耐性、筋硬直による木馬様歩行、痛みによる頸部屈曲、全身の筋萎縮や巨大食道症などです。その他、発声障害や全身の筋肉痛、間欠的な発熱などの症状が認められることもあリます。

診断はまず、感染性筋炎と傍腫瘍性のミオパチーを除外し、以下の項目の中から3つ以上が当てはまれば多発性筋炎と診断されます。
1.臨床症状の合致
2.血清CKの上昇(5〜10倍以上)
3.筋電図検査所見
4.感染症の除外
5.筋生検による炎症所見

治療はステロイドを中心とした免疫抑制療法となります。早期に治療が行われた場合は寛解治癒が期待できることも多いですが、治療が遅れた場合には呼吸不全や摂食障害によって予後不良となります。

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気になる症状がある場合はお気軽に相談くださいね。

獣医師 澤