リンパ腫って。。。
みなさんこんばんは。
後藤獣医師が産休に入り、後藤獣医師指名の患者さんには大変ご迷惑おかけしております。
本人は、入院は刑務所だと言うておりましたが、すっかりその生活に順応して朝方の生活を送っているようです。
一方、残された犬と猫を男でひとつで育てておりましたが、最近、犬の方が精神状態が不安定です。病院の奥の方で唸り続けている声が聞こえたら、それがうちのケモ蔵です。
それでは、本題に入ります。
笠井アナウンサーの悪性リンパ腫でご存知の方が多いと思われますが、犬や猫にもハムスターにだって発症します。
リンパ腫とは血液のがんで、簡単に言うと体に入ってきた悪い奴をしばきに行く白血球というもともと良い奴が、急に異常に増えて勝手なことことばかりするようになってしまい、最終的にはその本体自体を死に至らしめる病気です。
言い換えると、大事に育てた息子が中学生までは家の手伝いなどして家庭を助けてくれたのに、高校に入った途端不良たちと夜遅くまで遊び、挙げ句の果てには不良仲間を家に連れてきて家庭をめちゃくちゃにしてしまう家庭崩壊シナリオと全く同じです。
がんはおじいちゃん、おばちゃんがなるもんでしょう?って思っている方が多いと思われますが、このリンパ腫というものは若い子にも多いのが特徴です。私は勤務医時代、1歳で発病した子を治療しました。そんな子にこの現実を伝えるのはとても辛かったです。
色々な種類のリンパ腫があるのですが、最も多い多中心型リンパ腫と呼ばれるもに関してお話しします。
体のリンパ節が1週間程度で急に腫れてきて気づくことが多いです。耳の下付近の下顎リンパ節、胸付近の浅頸リンパ節、脇の腋下リンパ節、股の鼠径リンパ節、膝裏の膝窩リンパ節で
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診断は容易で、その腫れているリンパ節に針を刺して細胞を吸引すると異常なリンパ球が確認できます。
問題は治療になります。
治療しなければ1.2ヶ月しか生きることができませんので。。。
抗がん剤での治療になります。もちろん治療するかしないかは飼い主さんとじっくりお話します。
抗がん剤も一つの種類でいくのか、飲み薬だけでいくのか、色々な抗がん剤をコンビネーションで使うのかと予算と本人の体力と相談しながらになります。
ただ、できるだけ長く生きて欲しいと希望する場合は3-5種類の抗がん剤を使用し、約6ヶ月間治療します。。
そして、大事なのはできるだけ副作用(食欲低下と下痢嘔吐)を出さずに、最大限の効果を得られるように抗がん剤の量とタイミングを調整することです。そのさじ加減が獣医師の腕になります!
初回の抗がん剤が最も危険で副作用が出やすいのですが、そこを乗り越えてくれると比較的副作用を出さずに過ごせることも多いです。
当院では現在、1週間に2匹の犬のリンパ腫の治療をしていますが、ほとんどの子は治療前に比べて太るほどよく食べて、抗がん剤治療していると言わなければわからないような生活をしています。
ただ、リンパ腫の種類によっては抗がん剤が効きにくいタイプもありますので、詳しい話は直接獣医師にお聞きください。
また、当院では、他にも心臓にできる大動脈小体腫瘍や皮膚にできた肥満細胞腫、肛門腺癌を分子標的薬という比較的新しい抗がん剤での治療や、血管肉腫、悪性黒色腫、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、扁平上皮癌など様々な種類のガンに対しても抗がん剤治療を行なっていますのでこちらも詳しくは獣医師にお聞きください。