外科
外科治療について
一般的な避妊手術・去勢手術はもちろんのこと、その他の外科疾患に対する手術にも幅広く対応する診療科目です。
当院では麻酔・手術に対する全身麻酔薬や鎮痛薬を数多く準備しており、動物の年齢や状態、性格まで考慮してさまざまなパターンでの全身麻酔ができる環境が整っています。
当院で行う外科治療
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様々な動物に対応できるオペ室
さまざまな動物の手術に備え、大型犬にも対応できる大きめの手術台があるオペ室を有しています。動物たちになるべく負担をかけないよう、多種多様な設備を整えています。
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内視鏡による手術・精密検査
当院では、内視鏡を使った手術や精密検査も多数行っています。内視鏡はおもちゃなどを誤飲したときのほか、消化器官の検査の際にも活躍します。
切開を避けることで、動物の体にかかる負担を軽減できることが利点です。 -
ICU(集中治療室)の設置
呼吸器や循環器系などの重症疾患への処置のほか、手術後の回復室としても利用できるICU(集中治療室)を設置しています。温度・湿度のコントロールと、高い酸素濃度を保つことによって治療のストレスを最小限に抑えられる環境です。
避妊・去勢手術
動物病院における一般的な避妊手術とは、女の子の卵巣もしくは卵巣と子宮の両方をとること。去勢手術は男の子の精巣を取ることです。
健康な子に手術をするのはかわいそう、麻酔が怖いと感じる方もいるかもしれません。しかし、健康であるうちに手術を済ませておくことによって、将来的な体の負担や病気のリスクを減らせるとしたらどうでしょうか。大切な家族の健康のために、手術をするべきかどうか一緒に考えていきましょう。
避妊・去勢手術の時期
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子犬・子猫
避妊手術・去勢手術の時期は、ともに生後6~7ヶ月の初回発情前が目安です。
メスの場合は犬・猫いずれも、初回発情前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発症を高確率で予防できることがわかっています。オスの場合、本能的行動が現れる前に去勢手術を行うことで、マーキング(犬)やスプレー(猫)をするくせがつきにくいといわれています。 -
成犬・成猫
手術はいつでも可能です。メスの場合は、通常より手術中の出血が多くなる発情中をできる限り避けて行います。
およそ5歳以上の中年期になると、より詳細な術前検査が必要になる場合があるほか、手術や麻酔に対するリスクも高まるため、より早期に手術を行うことをおすすめしております。
わんちゃん、ねこちゃんの避妊・去勢手術のメリット
- 避妊手術
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- 望まない妊娠を防ぐことができます。
- 乳腺の腫瘍や、子宮蓄膿症・卵巣腫瘍といった病気の予防になります。
- 犬は発情出血がなくなります。
- 猫は発情期特有の鳴き声が軽減されます。
- 去勢手術
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- 攻撃性が低下し、穏やかな性格になることが期待できます。
- 尿をあちこちに吹き付けるマーキング行動(犬)・スプレー行動(猫)が抑えられます。
- 縄張り意識が薄くなり、他の犬・猫との喧嘩が減ります。
- 精巣や前立腺の病気や、会陰ヘルニア・肛門周囲腺腫の予防になります。
避妊・去勢手術の流れ
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1
術前検査
術前検査として、身体検査・血液検査・レントゲン検査などを行います。
その後、手術の日時のご相談もいたします。
※およそ5歳からの中年期以上の手術は麻酔のリスクが高まるため、より詳細な術前検査が必要になる場合があります。 -
2
手術前日
手術の前日は、夜12時までに夜ご飯を済ませてください。
飲水に制限はありません。 -
3
手術当日
手術当日の朝の7時以降は引水をストップしてください。可能であればお渡しするリキッドフードを同時刻の7時までに指示量を飲ませてください。
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4
全身麻酔
当院では、動物たちの安全と快適な治療を最優先に考えています。手術時には、気管内にチューブを挿入し、ガス麻酔を用いて動物の呼吸を安定させます。手術中は、常に呼吸、心電図、血圧を細かくモニタリングし、動物の体調を把握しています。
また、動物の病状や手術のリスクに応じて、安全性の高い薬剤を選択し、バランスの取れた麻酔法を用いることで、手術の安全性を高めています。 -
5
手術
- 避妊手術
- おへそから下にかけて開腹し、卵巣と子宮の両方を摘出した後縫合します。
- 去勢手術
- 犬は陰嚢前部の皮膚を切開、猫は陰嚢自体を皮膚切開し、精巣を摘出した後縫合します。
猫の場合は、傷口の回復が早く、陰嚢を縫うことによる悪影響の懸念もあるため縫合は行いません。
当院では、体内に使用する糸は体に吸収されて後に残らず、感染リスクも低いとされるノフィラメントの吸収糸を使用しています。とくに避妊手術の多くは卵巣・子宮を摘出する際に糸を使用しないシーリングシステムを利用します。皮膚の縫合部の糸は後日抜糸を行います。
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6
退院・術後検診・抜糸
麻酔の覚めに問題がなければ、手術当日の夕方にお迎えに来ていただけます。基本的に入院は不要です。
その後、約10~14日後に皮膚の縫合部の抜糸を行って終了です。
整形外科について
骨や関節、筋肉に関する各種疾患に対応する診療科目です。
足をかばって歩く様子を確認して来院される方が多いですが、その原因は外傷をはじめ、神経疾患、腫瘍性疾患、自己免疫疾患、内分泌疾患などさまざま考えられます。また、成長期に多い骨折や骨疾患、加齢にともなう靭帯損傷や関節炎など、ライフステージによっても起こりやすい整形外科疾患は異なります。
犬・猫が足をかばって歩く原因の解明と治療には、背景となる疾患がないかに加え、生活環境を知ることが必要不可欠です。そのため、当院ではご家族とのコミュニケーションも重視しています。
動物は痛みを言葉で伝えてはくれないため、明らかに足をかばって歩くようになった頃には症状が進行していることもあります。些細な変化を見逃さず、ぜひお早めにご相談ください。
こんな症状はありませんか?
- 片足を引きずっている
- 歩き方がおかしい
- お座りるのが大変そう
- 元気がないような気がする
- 段差のある道を登りたがらない
- 誤ってペットの足を踏んでしまった
考えられる主な病気
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膝蓋骨脱臼
膝蓋骨の関節が本来の位置からずれてしまっている状態です。スキップやケンケンといった歩行の異常があらわれたり、痛がる様子を見せたりします。多くの場合、原因は遺伝的なものであるとされていますが、外傷も原因になり得ます。
治療方法
内科的な保存治療が選択されるのが一般的です。状態によっては外科手術が適応になることもあります。
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骨折
落下や交通事故などにより、大きな外力が加わることで骨が折れてしまっている状態です。小型犬では、ソファや飼主様の膝から飛び降りたり、フローリングで転んだりしたことで骨折する場合もあるため、生活環境に注意する必要があります。
治療方法
折れた部位や骨の状態、開放骨折の有無によって治療方法・難易度はさまざまです。外固定による安静のみで完治するケースから、外科手術が必要になるケースまであります。
当院で行う検査・治療
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身体検査
心臓の音、心拍数とリズム、呼吸音、呼吸数などを確認し、全身の状態を診察します。
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画像検査
X線検査により、骨折部位などの確認・診断を行います。
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血液検査
血液を採取し血中の各成分について調べることで、整形外科以外の病気がないかを確認します。