アレルギーの季節?
最近は夜も冷えるようになり、本格的に秋そして冬へと季節が動き始めましたね。僕は足元が冷えるのが苦手で、部屋中まんべんなく暖かくしたい、北海道民的こだわりがあるのですが、それとは反対に、部屋はひんやりと、そして、こたつでぬくぬくぬくしたい派閥の方も少なからずいらっしゃるようですね。みなさんはどっち派ですか?
さて、最近の診察では、わんちゃんでもねこちゃんでも、「アレルギーかな?」と感じる症状の患者さんが来院する頻度が高くなっています。
春や秋は、気温や湿度の変化も急であったり、色々な種類の花粉が飛ぶ季節と言われていますが、動物も人のようにこれらに影響を受けている子が多いと感じます。ではどんな症状として出てくるかというと、ワンちゃんでは、外耳炎、皮膚のかゆみ(主に顔周り、四肢端、腹部など)、涙焼けの悪化や涙量の増加、軟便・下痢が多いと感じます。ねこちゃんでは主に皮膚炎が多く、特に腹部のなめ壊しによる脱毛や頭部、頸部の痒みとして現れることが多く、その他には眼の症状でまぶたの腫れとして現れることもあります。
<イヌの外耳炎>
<ネコの腹部脱毛>
<猫の頭部脱毛>
かく言う僕も、大阪に来てから秋は目がかゆくなったり、くしゃみや鼻水が止まらなくなり、環境の変化を実感しております。
ネットで検索すると、花粉カレンダーというものがたくさん出てきますが、どれを見てもやはりおおむね飛ぶ花粉の種類が多いのが春と秋だとわかります。
「大正製薬ホームぺージ」より
そこで、今回はこの季節を利用してアレルギー性皮膚炎の鑑別に役立ててみようと思います。
アレルギーに関するブログは、過去に高橋院長が執筆したものがあるので、そちらも合わせてご覧ください。
わんちゃん、ねこちゃんにおいてアレルギー性皮膚炎を疑う場合は、大きく食物アレルギーとアトピー性皮膚炎に分類します。
この二つの症状は類似している部分が多いこともあり、はじめてこの症状で来院されて診察をしたタイミングでは、なかなかこの2つを完璧に見分けることは難しいです。
そこで、食物アレルギーを診断するために、除去食試験を実施する場合もあります。ただこの試験は、1カ月~2カ月は継続しなければならないもので、この試験自体のハードルがあるのもたしかです。
そこで、この春や秋の時期のわんちゃん、ねこちゃんの様子をよく観察して頂き、かゆみに季節性がないか、いつも同じような時期に皮膚トラブルになっていないかを観察してみましょう。
食物アレルギーの場合は、基本的には年中同じものを摂取するので、症状も年中続きますが、環境中の何か、例えば花粉に反応している場合は、特定の季節のみ症状が強調される場合があります。
よくカルテを見てみると、毎年近しい時期に皮膚のかゆみが悪化している子を見つけることがあり、オーナー様と一緒にカルテを確認してみると驚かれる場合があったり、オーナー様自身ですでに痒みの傾向に気づかれている場合もありますが、その原因がアレルギーとは考えなかったケースもあります。
しっかりとしたデータで語っている内容ではなく、あくまで僕の肌感覚でのお話であり、実際にアレルギーを診断するにはアレルギー検査(血液検査)や除去食試験が必要になります。そうはいっても皮膚のかゆみに困っている子は比較的多いと思いますので、この観点から考えてみて、そろそろ痒い季節が来る!という心構えがあるだけでも、早期の診断・治療に役立てられると思いますので、ぜひ参考になればと思います。
獣医師 木村(なんやかんやで秋が一番好き)