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危険!犬のキシリトール!

人では一般的にガムや歯磨き粉、キャンディーなどに含まれているキシリトールですが、犬では中毒となる危険なものです。大量に誤飲した症例では死に至ることもあるので注意が必要です。

キシリトールは何が危険?

キシリトールの誤飲によって、血中の血糖値をコントロールしているインスリンが大量に放出され、低血糖を生じます。明らかな機序はわかっていませんが、急性肝壊死を生じ、血液凝固異常が起こるリスクもあリます。

どれくらい食べたら危ない?(中毒量)

低血糖は体重1kgあたりだいたい0.1gで起こり、誤飲してから30〜60分後で症状を発現することが多いです。急性肝壊死は1kgあたり0.5g以上で起こり、誤飲してから9〜72時間以内で認められます。ただし、これらの中毒量によってはわんちゃんによって変わりますので、少量でも中毒症状が発現するかもしれないことに注意しましょう。キシリトールガムにおいては、キシリトール含有量がガムによって異なりますが、小型犬では1粒だけでも深刻な中毒症状が起こる可能性があります。

キシリトール中毒の症状

誤飲して30〜60分で低血糖による嘔吐やふらつき、ぼーっとしたりします。その後さらに進行すると痙攣したり、虚脱しまうことがあります。比較的早くに症状が見られることが多いですが、中には12時間後くらいに症状がで始める子もいるので、少なくとも半日は油断してはいけません。

症状が出たらどうする?

すぐに病院に連れて来られる状況であれば駆けつけましょう!
低血糖が起こった場合は基本的に入院管理で、直接静脈に糖分であるグルコースを投与したり、痙攣が起きた際は抗痙攣薬を投与する必要があります。その他制吐剤や肝臓の保護が実施されます。

低血糖症状(特にふらつきや意識がぼーっとした状態)が見られ始め、すぐに病院に来られないようであれば応急的に砂糖水やシロップを飲ませるのも1つです。しかし、状態が悪い状況での無理な投与はせずできるだけ早く動物病院を受診しましょう。

キシリトールは私たちの生活の中でよく見かける食品や生活品に使用されているものなので、実際にどのように危険かを把握しておくことと同時に、誤飲させないような管理をする意識を持ちましょう!

獣医師 日向野