硬すぎるオモチャは要注意
わんちゃんが硬いものを噛んでいた際に歯が欠けてしまった、ということはないですか?
おもちゃを噛むことはストレスの解消、歯垢を擦り取るなど良い面がありますが、硬すぎるものは要注意です。
硬すぎるものを噛んでいると歯が折れてしまうことがあります。
歯のエナメル質や象牙質、セメント質などが外傷性に傷ついたものを歯の破折と呼びます。

歯の破折
原因
犬や猫では、硬いものの咀嚼、交通事故、落下事故、喧嘩などによって生じることが多いです。
分類
単純性破折:露髄をともなっていないもの
複雑性破折:露髄を伴っているもの
さらに細かく分類すると以下のように分けられます。
1. エナメル質亀裂(歯の構造は正常で、エネメル質の不完全破折のみ)
2. エナメル質破折(エナメル質のみ破折)
3. 単純性歯冠破折(露髄を認めない歯冠破折)
4. 複雑性歯冠破折(露髄が認められる歯冠破折)
5. 単純性歯冠歯根破折(露髄のない歯冠と歯根の破折)
6. 複雑性歯冠歯根破折(露髄のある歯冠と歯根の破折)
7. 歯根破折(歯根に認められる破折)
露髄を伴う破折の場合、歯髄への感染により歯髄炎を起こし、進行すると歯髄壊死や根尖周囲に病巣を形成します。
それらの結果、内歯瘻や外歯瘻を認めることがあります。
ぱっと見で露髄がなさそうでも歯髄炎や歯髄壊死を生じることがあります。
その原因として露髄腔の近くで折れてしまうと象牙細管に細菌感染が起こる可能性や目では分からない亀裂の可能性などが考えられています。
破折した部分の歯のレントゲンを撮ることでどの歯がどこまで折れているのかなどの判断材料になります。
また、歯髄腔や根尖周囲の評価も行えます。
乳歯が折れてしまった場合でも、露髄が認められた場合は感染により永久歯に影響が生じる場合があるため早急な抜歯が必要です。
治療
露髄なし
→ラウンドバーで歯冠表面を滑らかにして、ボンディング剤やグラスアイオノマーセメント、コンポジットレジンなどで破折具合に応じて保存修復を行います。
将来的に歯髄炎などを生じる可能性があるため、定期的に口腔内X線検査で根尖周囲の状態をチェックします。
露髄あり
→口腔内のX線検査で歯内治療か抜歯か判断します。
硬いものを噛む癖がある子は歯が折れるリスクがあるため、注意してあげてください!
獣医師 児島🐾