病気

「長く続く下痢・繰り返す下痢」に要注意!

慢性腸症は慢性的な消化器症状(嘔吐、下痢、食欲不振など)を示す病気のうち、感染症(細菌、ウイルス、寄生虫)、腫瘍、内分泌疾患などの非消化器疾患が除外された消化器疾患です。そのため、診断を確定するためには、除外診断となり、血液検査、レントゲン、超音波検査や内視鏡など様々な検査が必要となってきます。

慢性腸症は治療への反応性や病態から、4つに分類されます。
①食事反応性腸症、②抗菌薬反応性腸症、③ステロイド反応性腸症、④非反応性腸症
(※②に関しては、公衆衛生学的観点、及びその割合から定義が見直されているところみたいです)

慢性腸症の犬のうち、多くは食事反応性腸症であり、療法食に変更するだけで、2週間程度すれば下痢が改善されることがあります。病院で処方される療法食は、高繊維食、加水分解食、新奇タンパク食、手作り食などがあります。
療法食は、市販のフードよりはお値段が高くなってしまうことがありますが、食事を変更しない限り、症状が治らない可能性が高いです。ずっと療法食を食べないといけない場合もありますが、元のフードに戻せるわんちゃんが7〜8割程度いますので、食事から腸内環境をしっかりと整えてあげましょう。

さて、下痢と腫瘍の関連ですが、キーワードが腸内環境となります。
慢性腸症の犬の中の腸内環境は3つの点から説明することができます。
❶腸内細菌叢、❷粘膜におけるバリア機能、❸免疫反応

❶腸内細菌叢が乱れている。
腸内に存在する多くの細菌(善玉菌、悪玉菌など)の数々の細菌のことを総じて、腸内細菌叢と呼びます。
腸内細菌叢が乱れると、細菌の多様性が失われます。(善玉菌、悪玉菌のバランスが崩れたり、特定の菌のみ多くなる。)すると、病原性微生物が増え、有用な短鎖脂肪酸が減少したり、胆汁酸の代謝が乱れます。
(※腸内細菌叢が乱れる可能性があるため、抗菌薬の使用に関しては議論があります。ただし、使用しないと改善しない犬います。)
❷粘膜におけるバリア機能が破綻している。
粘膜において、防御を担う物質(粘液、抗体、抗菌物質)が減少したり、タイトジャンクション(細胞同士の接着)が緩んだりします。
❸免疫反応が過剰になる。
❶、❷の結果、過剰な炎症や免疫応答が体の中で起こることにより、免疫細胞(リンパ球、形質細胞、好中球、好酸球など)が刺激されて増加します。

❸において、免疫反応が慢性的に・過剰に反応しコントロールを失った結果、消化管において、意味もなく免疫細胞が増殖し続ける状態がリンパ腫です。下痢を放置してしまいますと、リンパ腫となってしまう可能性があるということです。先に出てきた④非反応性腸性の一部にリンパ腫が分類されることもあります。非反応性腸症やリンパ腫になってしまうと、なかなか対応が難しい場合もあります。

嘔吐や下痢が長引く場合は、手がつけられなくなる前に、早めの受診をお勧めします。
食事療法が効く場合もよくありますので、ぜひ一度獣医師と相談してみてください。

獣医師 佐藤