病気

犬猫の糖尿病

人にもある糖尿病は犬猫でもみられる病気の1つです。糖尿病は放っておくと重症となる病気なのでどういうものかしっかり理解しておきましょう!

はじめに

犬猫をはじめとする多くの動物はエネルギーを作り出すためにグルコース(糖分)とケトン体を利用しています。いわゆる血糖値を表しているのがグルコースのことになります。犬は雑食なので食事の中に含まれる炭水化物によって摂取後すぐに血糖値が上昇します。一方、猫は肉食なので食事から直接糖を摂取することは少ないため、アミノ酸や脂肪から糖を作るシステムが存在します。

体内の血糖値を適切にコントロールするために、血糖値を上げるためには膵臓からのグルカゴン、副腎からのアドレナリン、コルチゾール、下垂体からは成長ホルモンなどが分泌されます。逆に高くなった血糖値を下げるために働くのが膵臓からのインスリンになります。糖尿病とはこのインスリンによる血糖値を下げる機構に異常を来した結果に引き起こされます。

原因

糖尿病になってしまう原因には2つパターンがあり、Ⅰ型(インスリンの分泌量が低下する)とⅡ型(インスリンの反応性が低下する)に分けられます。犬ではⅠ型が、猫ではⅡ型になることがほとんどです。糖尿病になってしまいやすい原因としては、肥満、未避妊メスのホルモン異常、ストレス、食事性、遺伝性、膵炎などが挙げられます。犬ではミニチュア・ピンシャー、プードル、ダックス、シュナウザー、ビーグルなどが、猫ではバーミーズ、トンキニーズ、ロシアンブルーなどが好発と言われています。

症状

初期から後期で重症度が変わるため、その変化に気づけるかが大事になります。

<初期>

  • 多飲多尿
  • 多食あるいは食欲低下
  • 体重減少
  • 白内障(特に犬)
  • 踵をつけた歩様(特に猫)

<後期>

  • ぐったりする
  • 嘔吐、下痢
  • 黄疸
  • 呼吸が早い

後期では糖尿病性ケトアシドーシスという病態に陥りかなり重症な状態になりかねないので、症状はしっかり把握しておきましょう。特に初期に見られる多飲多尿が気づけるポイントとなりますので、飲水量が急に増えたりよくトイレに行くようになったらまずは検査をすべきでしょう。

診断

まずは症状が一致するかの問診が必須となります。その後糖尿病を疑って血液検査、尿検査、および糖尿病の確定として追加の血液検査としてフルクトサミンや糖化アルブミンを測定します。血液検査では持続的な高血糖が認められ、重症例では体内のミネラルバランスが乱れます。尿検査では尿糖が確認され、重症例では尿中ケトンが認められます。また、糖尿病では細菌感染を起こしやすく、尿中に細菌が認められることも多いです。

治療

犬猫ともに血糖値コントロールのためインスリンの投与が必要となります。基本的にはインスリンの注射を自宅で1日1~2回実施していただくことになります。重症でなければ、最近では血糖値コントロールのための経口薬も使用されることがあります。注射が難しい子で経口薬を投与してもらうことがありますが、重症例では使用できません。インスリン治療を始めると一般的に初期投与量でコントロールできないことが多く、数日おきの検査にて投与量を決定していきます。インスリン治療は一部の猫を除いて、ほとんどの症例で生涯投与となります。

また、特に犬では食事が重要となってきており、冒頭で述べた通り炭水化物で急激に上昇してしまうことから、高タンパク食かつ低〜中炭水化物食、高繊維食などが推奨されます。肥満症例ではダイエットも必要となります。

重症化した場合の糖尿病性ケトアシドーシスについては次回お話しします。

糖尿病は人でも聞き馴染みのある病気だと思いますので、ご自宅でも疑った場合は一度病院へご相談ください。

獣医師 日向野