糖尿病性ケトアシドーシス
前回は糖尿病についてお話ししましたが、糖尿病が治療されずに進行すると糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態になってしまいます。それに対して、どういった原因で陥ったか、その時の治療について知っておく必要があるでしょう。
糖尿病性ケトアシドーシスの病態
糖尿病により体内の糖をうまく利用できなくなると、糖の代わりに脂肪を分解することでエネルギーを産み出します。この時、脂肪分解によってアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸、アセトンといったケトン体が産生され、これらの酸が体内に蓄積することで身体が酸性に傾いてしまった状態(代謝性アシドーシス)となります。そして、糖とともに尿中にケトンが出るようになり、このケトンによって電解質の異常や重度の脱水を引き起こします。これによって高窒素血症が起こり、嘔吐や飲水量の低下につながります。これらの一連の病態を糖尿病性ケトアシドーシスといいます。
原因
糖尿病から進行して糖尿病性ケトアシドーシスに至ってしまうには以下の原因が考えられます。
- 糖尿病が治療されずに進行してしまった、またはコントロール不良
- インスリン注射量の不足、または打ち忘れや打ち損じなど
- 膵炎や心臓病などの他の病気の併発
- 高ストレス
症状
症状については前回のブログ(犬猫の糖尿病)を参照ください。糖尿病性ケトアシドーシスでは以下のような症状が見られます。
- 食欲不振
- 嘔吐、下痢
- 体重減少
- 多飲多尿だったのが、飲水量および尿量ともに減少
- 脱水によって皮膚の艶消失、口の渇き
- 呼吸が早い
- 口からアセトン臭(酸っぱい匂い)
- 重度症例ではかなりぐったりする
診断
まずは糖尿病の検査(血液検査、尿検査)を実施し、糖尿病性ケトアシドーシスでは尿中にケトンが認められます。重度の症例では血液検査にて電解質異常が認められます。
治療
糖尿病性ケトアシドーシスは糖尿病が重症化した病態なので、入院による集中治療が必要となります。多くが重度の脱水と電解質異常となっているので、まずは輸液による脱水補正と電解質補正が行われます。ある程度補正された後、短時間作用型のインスリン(レギュラーインスリン)にて身体が脂肪分解から糖を利用できるように戻すことが重要となります。それによって体内のケトンが陰性となり、食欲が戻れば本来のインスリン注射での治療に戻します。また、その他に併発する疾患があればそれに対する治療も並行して行うことになります。
以上が糖尿病性ケトアシドーシスについての説明でした。糖尿病は放っておくと命に関わる病態となるので、しっかり症状を把握し、もし疑ったらできるだけ早く病院へ連れて行きましょう!
獣医師 日向野