タバコの誤食

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誤食

みなさんこんにちは、最近引っ越しをしてまた新鮮な気持ちで人生を送っております、獣医師木村です。飽き症の性格な故、1年に一度は何かしら人生に変化をつけていかないと、退屈になってしまうのですが、これって損な体質ですかね、、、みなさんはいかがですか?

今月は、わんちゃんのタバコ誤食例を紹介します。

散歩中に道端に落ちていたものを拾い食いしてしまったとのことで来院されました。

食べてしまったのはつい1時間前とのことなので、催吐処置により吐き出させる処置を行いました。

今回は、幸いフィルター部分のみの誤食であり、ニコチンによる中毒が起こる可能性は低かったため、特別体調不良になることもなく済みました。

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タバコ1本には、ニコチンが約10-20mg含まれており、摂取量としては約1mg/kgで中毒症状を起こすとされています。ニコチンは水によく溶けて、特にアルカリ性で吸収が良いため、強い酸性である胃酸の中では若干吸収は遅れています。しかし、腸まで流れてしまうと、腸内はアルカリ性に寄ってしまい、吐き出させることもできなくなるので、もし食べてしまったら、胃の中にある間に体外に出すことが重要です。

胃から腸までの通過時間はおおよそ2~3時間なので、もし誤食が怪しいときは様子を見ずに、早急に病院を受診しましょう。

また、ニコチンを少しでも薄めようと思って水や牛乳を与えるのは、逆に吸収を促進させるので大変危険です。

中毒量の摂取をしてしまった場合の症状としては、嘔吐、よだれ、下痢、異常興奮、ふらつき、散瞳、さらに大量摂取では痙攣や起立困難、呼吸困難なども起こり得ます。体の中には、自律神経の調整や筋肉の収縮に関わるニコチン受容体というものがあり、本来は、アセチルコリンという体内の神経伝達物質が結合して機能するのですが、そこにタバコ由来の大量のニコチンが結合してしまい、様々な機能不全が起こることが上記の症状の原因になります。

もしタバコの誤飲を見つけたときは迷わず病院へお越しください。

獣医師 木村(禁煙者)