病気

アレルギーってナニ?

みなさんこんばんは。

ここ最近、父親の手術や両家の顔わせや私の試験やら忙しい日々で喉の調子が最悪でご迷惑おかけしました。

私の喉は、花粉の飛散する季節やストレスの多い時期に悪化します。

そうです、その花粉の時期に喉が悪くなるってやつがアレルギーなんです!

犬はアレルギーといえば皮膚病なので、今回は皮膚病のアレルギーに関してお話しします。

アレルギーは大変奥が深く複雑で、いまだに全容解明できていません。

それゆえ、今回は細かいところには言及しないで、大枠だけで説明するので気楽にお読みください。

 

診察で『この子アレルギーですね!』なんてよく言われると思いますが、そのアレルギーは

食物アレルギー性皮膚炎 と アトピー性皮膚炎 に分けられます。

この分類がなぜ大切かというと、食物アレルギーはフードの変更で治り、アトピー性皮膚炎は完治できず、一生付き合っていかなければならいない病気だからです。

で、今回は治る食物アレルギーに絞ってお話します。(アトピー性皮膚炎に関しては次回)

そもそも、食物アレルギーとは食べ物の成分(多くはタンパク質)に対して体が過剰に反応してしまい様々な症状を引き起こします。

一般的な話になりますが、反応しやすい食べ物としては、牛肉、鶏、小麦、乳製品が上位に上がります。

症状で最も多いものが皮膚炎になります。そのほかには下痢や嘔吐などの消化器症状(10-15%)もあります。

そして、症状が出始める時期は1歳以下のことが比較的多いです。しかし、気づかないまま中年齢で診断されることもあります。

この図を見てください。どこに痒みが出て、どのような皮膚になるかを示しています。

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耳、口周囲、目周囲、手や足先、脇、股、肛門周囲、腰(しっぽの付け根付近)が皮膚炎を起こしやすいところになります。

この部位に皮膚炎があればアトピーではなく食物アレルギーだ!と診断できるほど簡単ではないんです。。。

なぜならアトピー性皮膚炎も耳、口周囲、目周囲、手や足先、脇、股、肛門周囲に皮膚炎が起こります。ほとんど同じですね!

しかし、このような部位の何ヶ所かに皮膚炎があればアレルギーを疑うことができます。

アトピーでは腰の病変はあまりでないので診断ポイントです。

また、食物アレルギーは原因となる食べ物を食べている限り常に痒みが出るので、季節に関係なく年中痒がります。

一方、アトピーは花粉など季節のものに影響を受けるのである時期に痒みが強く出ます。

これで診断がついた!と思うほど甘くないんです。。。

例えばハウスダスト(ダニ)に反応するアトピーは1年中痒がるし、アトピーも慢性化すると季節性がなくなったりします。

さらに、食物アレルギーの犬の3割はアトピーも併発しているというデータもあり、お手上げです。。。

いえいえ、私はまだ手をあげません!

では、私がどう診断を進めていくかご説明しましょう!

まずアレルギー検査(血液検査)を行います。

少し難しい話ですが、食物アレルギーはIgEが関与する1型過敏症とリンパ球が関与するⅣ型過敏症があります。

ですので、IgEというものを調べる検査とリンパ球というものを調べる検査を両方ともしなくてはなりません。(アトピーはIgEのみでOK)

人のアレルギーほど検査してくれる機関が多くなく、検体数も少ないので一つの検査料金がお高いんです。

ここがこの病気の診断を阻む大きなポイントなのです。

多くの保険会社はこの検査を保険適応しているので幾分は助けになりますが。。。

そして、検査の結果がこのような形で出ます。

IgE検査
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食物のところを見て、数値が100を超えているものは反応しやすいと考えます

リンパ球検査
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1.2%を超えているものは反応しやすいと考えます。できるだけ0.3%未満のものを与える様にします。

この子の場合だとメインのタンパクとして利用できるのが小麦になります。

こんなフードが推奨されます。

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ここでもう一つの関門です!

この決められたフードと水以外は1-2ヶ月間与えてはならないのです!

これを難しい言葉で食物除去食試験と言います。

もちろんおやつを少しでもあげようものなら、今までの努力が水の泡になります。

家族全員の協力が必要です!

おじいちゃん、おばあちゃんのおやつによって可愛がられている子

子供のこぼした食べ物を掃除してくれる子

は特に注意です。

とにかく家族全員の協力が必要です!

そして、この1-2ヶ月間で痒みがひいた子は、もう一度元のフードに戻して痒みが再び起こるかか確認します。

これを難しい言葉で食物負荷試験と言います。

つまり食物アレルギーであれば、この除去食試験で痒みが引き、元のフードに戻すと1週間程度で痒みが出てくるといった結果になります。

一方、食物アレルギーでなくアトピーであれば、除去食試験で痒みが引かないという結果になります。

その後は、フードの選別のみで痒みから解放された生活が待っていることでしょう!

おやつだって素材さえ選べばあげられますが、加工品は避けた方がいいです。

ただ、検査するお金が。。。って方は

アレルギー反応を起こしにくくした専用の食事で除去食試験を行い、食物負荷試験を行い判定します。

ただ、この場合はあくまでもアレルギー反応を起こしにくくしただけで、その食べ物に反応してしまうことがあります。

決して完全ではありませんが、このような検査でも食物アレルギーと診断に至る子もいるのでご相談ください。

 

余談ですが食べ物には交差反応というもがあり、アミノ酸という非常に小さいところの構造が似ていると違う食べ物でも反応してしまう現象です。

例えば、メロンとバナナ、牛肉と牛乳、スギ花粉とトマト、ブタクサときゅうり・メロン・スイカ、ゴキブリとエビ・カニ、ポテトとピーマン・ナスなど色々あります。

なので血液検査でブタクサに反応するとなった場合は、きゅうりやメロンやスイカにも気をつけないくてはなりません。

結構、フルーツや野菜によるアレルギーは多いようですので注意してください。

最後に、人では離乳期を過ぎて幼少期までは食べ物に反応し、食物アレルギーを獲得しやすい時期というのがあります。

動物でもおそらく同様のことが起こりうると考えられているため、成犬になる6ヶ月まではあまり色々な種類のフードを与えたり、色々なな種類のおやつはやめましょうね!

 

結局、小難しい話で長くなってしまいました。。。

もう夜の2時です。

おやすみなさい。

 

獣医師 高橋