膝のお皿、パテラちゃん
こんにちは!
獣医師の後藤です!
今日は膝の話をしたいと思います。
膝という関節は、人間でも痛めることが多いと思いますが、動物でも痛めたり、トラブルが起こることが多い関節の一つです。
私も学生時代、なぜか獣医学科で半ば強制的に参加する「いぶすき菜の花マラソン」なるものがあり、42.195kmを完璧に歩ききったのですが、翌日以降の膝の痛みは今でも忘れられません。
自転車に乗ることもままならず、階段をロボットのように上がり、膝って本当に、大切な関節なんだなぁと日頃の働きに感謝したものです。
膝のお皿(膝蓋骨)のことを、英語でパテラ(patella)と呼びます。
今日はこの、パテラにまつわる病気をご紹介したいと思います。
犬では膝蓋骨脱臼という、パテラが本来ある場所から外れて横にずれてしまう病気が多く、小型犬には内方脱臼という、内側への脱臼が多発します。
主に成長期に認められるため、先天性もしくは発育期の障害と考えられており、ポメラニアン、トイプードル、チワワ、ヨークシャーテリアなどが好発犬種と言われています。
図で言うとこんな感じです。
脱臼の程度によってグレードが分かれていて、グレードは1から4まで、数字が上がるほど悪い状態です。
簡単に言うと、
グレード1:パテラは正常位置にある + 手で押すと外れる、離すとすぐにもとに戻る
グレード2:パテラは正常位置にある + 手で押すと外れる、離しても戻りが遅い
グレード3:パテラは常に外れている + 手で押すと正常位置に戻るが、離すとすぐ外れる
グレード4:パテラは常に外れている + 手で押しても正常位置には戻らない
そして症状は割と様々で、無症状の子もいれば、時々ケンケン歩きをするという程度から、関節炎が進行して痛みが慢性化してしまう場合もあります。
症状とグレードが必ずしも相関しないことも多く、病院で初めてパテラが外れていることを知る飼い主さんも多いようです。
治療は、軽度であれば痛み止めを飲んだり、安静にしていることで症状はおさまりますが、根本的な解決が必要な場合は手術になります。
グレードも症状も軽度のものであれば、治療を必要としない場合も多いので、悪化させないこともとっても大切です。
おうちでは、フローリングで滑らないようにマットを敷いたり、ソファやベッドに上がる際にスロープを設置したり、なんてことも悪化予防につながります。
なんせ、とっても大切な関節です。
時々後ろ足をかばっているかな? 歩き方に違和感があるかな?という場合は、一度受診してパテラチェックをしていただくことをオススメします!