病気
ウサギの乳腺腫瘍
こんにちは。
今月はウサギの乳腺腫瘍についてお話します。
まず、女の子のウサギちゃんの乳首は通常4対(まれに5対)でそれぞれ腋窩乳腺、胸部乳腺、腹部乳腺、鼠径乳腺から成ります。
乳腺腫瘍は高齢での発生率が高く、視診や触診で乳腺の腫瘤を触知し、細胞診にて腫瘍細胞を確認することで診断します。外科切除後の病理検査による分類では乳腺癌82%、乳腺癌肉腫4%、乳腺種14%となっており、圧倒的に悪性率が高いです(乳腺癌、乳腺癌肉腫が悪性)。また、悪性腫瘍が大多数を占めることで遠隔転移(特に肺転移)しやすいことも特徴としてあげられます。
乳腺疾患を患っている個体は、同時に子宮疾患にも罹患している可能性があるため、こちらにも注意が必要です。
治療は外科手術による乳腺腫瘍の摘出並びに卵巣子宮全摘出となります。ただし、手術前の全身状態のチェック、肺転移の有無などをしっかりと確認することが大切です。
肺転移を伴う症例に対しては、その進行スピードを1〜2週間確認した上で、乳腺腫瘍の疼痛や出血を抑える目的(QOL:quarity of lifeの改善目的)で手術を相談することはありますが、基本的には対症療法や支持療法(点滴や痛み止め、感染予防、酸素吸入など)が主な治療となります。
ご家庭ではあまり触ることはないかもしれませんが、女の子のウサギちゃんと暮らしている方は一度胸からお腹付近をチェックしてみて、しこりがある際にはお気軽にご相談してくださいね。
獣医師 澤