病気
あれも?これも?犬の中毒について
今回は、ワンちゃんの中毒についてお話しようと思います。
代表的なもの、事例の多いものはしっかりと把握しておき、いざとなったときに迅速に対応できると、健康への害を最小限に抑えられる可能性があります。
1.大丈夫か判断のつかないものを食べた可能性がある時の対処法
2.中毒物質を含む代表的な食べ物
3.日常で遭遇する中毒物質
4.基本的な処置について
の順で解説していきますね。
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大丈夫か判断のつかないものを食べた可能性がある時の対処法
・実際に食べたところをみたか
・食べたとして、それからどれくらい時間が経過したか
・どのくらいの量をたべたか
・現在症状はあるか(嘔吐、下痢、食欲低下、痙攣発作など)
実際に誤って食べてしまい、動物病院に連絡や来院される際に、これらの情報が揃っているとより迅速で適切な処置が行えます。
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中毒物質を含む代表的な食べ物
これらの特徴は、人間には害がありませんがワンちゃんが食べると悪影響があるということです。このことを常に把握しておくことが、未然に事故を防ぐことにつながります。
- ネギ類(タマネギ、長ネギ、ニンニク)
- 症状は貧血から来るものが主になります。これらは少量でも中毒になる危険性があります。また、加熱しても原因物質はなくならないので注意しましょう。
- チョコレート
- 興奮状態(呼吸が早くなる、落ち着きがないなど)になることが多いです。原因物質は、ダークチョコレートやミルクチョコレートのようなカカオ含有量が多いものでたくさん含まれているので特に注意です。ホワイトチョコレートは比較的少ないとされています。チョコレートケーキはもちろん危険です。
- ブドウ、レーズン
- 症状は、主に嘔吐です。実は中毒の原因物質はまだわかっていません。しかし腎機能障害を起こす危険なものなので特に注意が必要です。
- キシリトール
- 症状はふらつき、痙攣など主に低血糖に関連したものになります。キシリトールガムの危険性はよく知られていますが、具体的には、小型犬にとっては1粒でも中毒量になり得ますので、ボトル一本空けちゃったよ、なんてことがないことを祈るばかりですね。
- その他の食べ物
- アボカド、グレープフルーツなど。
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日常で遭遇する誤食
次は食べ物以外で、比較的事例が多いものを紹介しますね。
- 予防薬
- 最近のフィラリア、ノミ・ダニの予防薬は、おいしく食べられるように作られているので、ワンちゃんの口に届く場所に置いてあると、一気に食べてしまうことも少なくないようです。実は、これらの製品は、1粒の5倍量以上での安全性が確認されてから製品になることがほとんどです。しかし、もちろんその反応には個体差がありますので、第1項で紹介した項目を確認したのち、まずはご相談ください。一粒のお値段もまぁまぁなものもありますので、経済的な点からも予防薬はワンちゃんの口が届かないところにしまっておきましょう!
- 観葉植物
- これに関しては、基本的には種類に関わらず、口にしたら危険なものであると理解しておくことをお勧めします。なぜなら、種類が多すぎるからです…。特に誤食癖のあるワンちゃんを飼われている場合は、お散歩中の誤食だけでなく、おうちの中やお庭で飾る場合の場所選びも注意しましょう。
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動物病院での基本的な処置について
誤食や中毒物質とは、時間との勝負です。一度口にしたものは1~2時間ほどで胃から腸へと徐々に通過してしまいます。摂取からの経過時間が短い場合の基本的な処置は催吐処置をすることで吐き出させてしまうことです。もちろん例外もありますが、こうすることで体内に入ってくる中毒物質の量を最小限に抑えることができます。
僕も中毒物質の勉強の真っ最中ですが、そのあまりの量に目眩がしそうになりながら勉強しております。
よくわからないものを食べてしまったときは、これくらいは大丈夫と放置せず、無症状であってもまずはご相談ください。
ひとりカラオケ中毒の獣医師 木村