角膜潰瘍(潰瘍性角膜炎)
角膜潰瘍とは、表層の角膜上皮が欠失した状態です。
角膜実質欠損(程度は様々)を伴うこともあれば、伴わないこともあります。
潰瘍の深さにより表層性角膜潰瘍(上皮が欠損)、実質性角膜潰瘍(実質まで潰瘍がおよんでいる)、デスメ膜瘤(実質が欠損し、デスメ膜が膨隆)、角膜穿孔と分類されます。


原因
・外傷
・異物
・感染(細菌、ウイルス、真菌)
・異所性睫毛
・眼瞼内反症
・化学物質
・角膜の乾燥
・角膜上皮の発育障害
・免疫異常 など
草むらなどに顔を突っ込んで草などが眼に当たった、引っ掻かれた、シャンプーが眼に入った後などに以下の症状がある場合はもしかしたら角膜に傷がついているかもしれません。
症状
・羞明(眼のしょぼつき)
・充血
・眼脂
・流涙
・眼を気にする
・疼痛
ぶどう膜炎を誘発することもあり、特に実質が細菌感染を伴っていると強くみられます。
その場合、炎症による疼痛、縮瞳、虹彩の発赤や腫脹、前房フレア、前房蓄膿が認められます。
検査
・フルオレセイン染色
角膜の潰瘍をチェックできる検査。
黄色っぽい色の染色液を眼に垂らし、染色液で染まってくる場合は傷があると判断します。
角膜は、表層から角膜上皮、角膜実質、角膜内皮と分かれており、フルオレセイン染色では角膜上皮は染まらず、角膜実質が染まってきます。
表層点状角膜症や角膜びらん(表層潰瘍)があるかわかります。


・スリットランプ検査
角膜の厚さや混濁、穿孔による虹彩癒着や浅くなった前房などを確認します。
治療
・抗菌薬の点眼薬
・角膜上皮障害治療点眼薬
・血清点眼
点眼治療に加えて、さらに傷を増やさない、広げない、深くしないためにエリザベスカラーの装着が必須です。
・ソフトコンタクトレンズの装着(場合によって)
・アトロピンの点眼(眼の疼痛、抗炎症作用を期待して)
合併症がある場合は、その内容に応じて治療を追加します。
潰瘍が深いデスメ膜瘤では、外科的処置が必要になります。
上皮のターンオーバーは7日間であり、個体差や潰瘍の程度や原因にもよりますが、1週間以内で潰瘍がなくなることが多いです。
次回は、角膜潰瘍がなかなか治らない時のお話をします。
獣医師 児島🐾