病気

わんちゃんのワクチンで予防できる病気〜その4 犬アデノウイルスⅡ型〜

犬アデノウイルスⅡ型とは

犬アデノウイルスには

・Ⅰ型
・Ⅱ型

があります。

Ⅰ型は犬伝染性肝炎を引き起こすウイルスでしたが、Ⅱ型は主に呼吸器に感染し、犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)の原因の一つとなるウイルスです。

単独で感染することもありますが、多くの場合は

・犬パラインフルエンザウイルス
・犬呼吸器コロナウイルス
・犬ヘルペスウイルス
・マイコプラズマ
・Bordetella bronchiseptica(ボルデテラ菌)

などと同時に感染し、症状が重くなることがあります。

感染経路(どうやって感染するのか)

感染犬の

・くしゃみ
・咳
・鼻汁

などに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。

感染力は非常に強く、

・ペットホテル
・トリミングサロン
・ドッグラン
・犬の幼稚園
・多頭飼育環境

など、犬が集まる場所では感染が広がりやすくなります。

感染した犬は症状が軽くても、一定期間ウイルスを排出し周囲へ感染させることがあります。

症状

感染すると、上部気道に炎症が起こり、

・乾いた咳
・発作的な咳
・ガーガーという咳
・興奮時や運動後に咳が悪化する
・くしゃみ
・鼻水
・軽い発熱
・元気や食欲の低下

などの症状がみられます。

軽症で自然に回復することも少なくありませんが、

・子犬
・高齢犬
・免疫力が低下している犬

では肺炎へ進行することがあります。

細菌感染を併発すると症状が悪化し、発熱や呼吸困難がみられることもあります。

診断

症状や周囲の流行状況から疑うことが多く、

・血液検査検査
・胸部レントゲン検査
・PCR検査
・細菌培養検査

などを組み合わせて診断します。

ただし、ケンネルコフは複数の病原体が関与することが多いため、犬アデノウイルスⅡ型だけが原因とは限りません。

治療

犬アデノウイルスⅡ型を直接排除する特効薬はありません。

そのため治療は

・安静
・十分な水分補給
・咳止め(状態に応じて使用)
・去痰薬
・細菌感染が疑われる場合の抗生物質
・酸素管理や点滴(重症例)

などの対症療法が中心となります。

肺炎へ進行した場合は、入院治療が必要になることもあります。

予防

現在の混合ワクチンには、犬アデノウイルスⅡ型に対する予防成分が含まれています。

犬アデノウイルスⅡ型ワクチンは、

・犬アデノウイルスⅡ型による呼吸器感染症

だけでなく、

・犬アデノウイルスⅠ型による犬伝染性肝炎

に対しても交差免疫を獲得できることが知られています。

そのため現在では、安全性の高いⅡ型ワクチンが世界的に使用されています。

子犬では、生後6〜8週齢から3〜4週間隔で複数回接種し、16週齢以降までワクチンプログラムを完了することが推奨されています。

また、その後も獣医師と相談しながら適切な追加接種を行うことが大切です。

まとめ

犬アデノウイルスⅡ型感染症は、

・主に呼吸器に感染する
・ケンネルコフの原因の一つである
・子犬では肺炎へ進行することがある
・混合ワクチンで予防できる
・Ⅰ型に対する免疫も獲得できる

感染しても軽症で済む犬は多い一方で、子犬や高齢犬では重症化することがあります。

咳は「様子を見ても大丈夫」と思われがちな症状ですが、肺炎など重い病気が隠れていることもあります。

咳が続く、元気や食欲が落ちている、呼吸が苦しそうなどの症状がみられた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

大切なご家族であるワンちゃんを感染症から守るためにも、定期的なワクチン接種は健康管理の大切な一つです。

「咳が続いているけど様子を見てもいいの?」
「混合ワクチンは毎年必要?」
「他の犬と遊ばせても大丈夫?」

など、気になることがありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

獣医師 佐藤