病気

股関節形成不全について

こんにちは!
8月ももう終わりなのに、まだ暑い日々が続いていますね。油断せずにみなさん体調にはお気をつけください。
さて、今回は『股関節形成不全』についてお話しします。

股関節形成不全とは

股関節形成不全は、股関節が成長とともに形成異常を起こし、それが原因で関節が不安定になり、その結果として変形性関節炎へと移行していく疾患です。犬や猫にも起こり、通常は両側に生じます。

原因

以下に示す通り、様々な要因が関わっていると言われています。

  • 遺伝的要因:まだ研究段階ですが、遺伝的な要因が報告されています。
  • 生体力学的要因:骨格と筋肉の成長の不均衡が要因として考えられています。
  • 体重・栄養要因:急激な体重増加、カルシウムやビタミンDの過剰摂取が原因となることが報告されています。
  • 内分泌要因・ホルモン:早期の不妊手術による性ホルモンバランスの影響によって罹患率が上昇する可能性が指摘されています。
  • そのほか:衝撃の強い運動、滑る床、階段などの生活での要因も影響すると言われています。

また、遺伝的なものや体重の関係から小型犬よりも大型犬が多いと言われています。好発犬種はセント・バーナード、マスチフ、ジャーマン・シェパード、ロットワイラー、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーです。小型犬ではパグ、フレンチ・ブルドッグ、シー・ズー、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ポメラニアン、マルチーズ、ダックスフンド、ヨークシャー・テリアなどです。

症状

症状を示す場合は、成長期と成熟後で2回顕著に見られる時期があります。成長期では4~12月で顕著になることが多く、これは股関節の緩みが原因となっていると言われています。一方、成熟期では変形性関節症が原因と言われています。股関節形成不全では以下のような症状が認められます。

  • 片方または両方の後肢の破行
  • 腰を振って歩く(モンローウォーク)
  • うさぎ飛び
  • 立ち上がりに力が入らない
  • 走ったりジャンプ、階段を嫌う

診断

触診とレントゲンで診断します。触診では股関節の曲げ伸ばしでの痛みや、可動域、筋肉量などを評価します。レントゲンでは股関節を形成する寛骨臼、大腿骨頭のはまり具合や関節炎所見を評価します。下に示すレントゲンは、受け手の寛骨臼に対して、大腿骨頭が明らかにはまりきっていない画像になります。

治療

内科療法、外科療法をその子の症状や年齢を考慮し選択することになります。

内科療法

軽度から中程度の症状を示す子は適用であり、主に体重管理、栄養管理、運動制限やリハビリ、鎮痛薬やサプリによって痛みの緩和を行います。

外科治療

症例の年齢や、骨の状態によって選択される術式がいくつかあります。

  • 恥骨結合癒合術
  • 二点骨盤骨切り術
  • 三点骨盤骨切り術
  • 大腿骨頭切除術
  • 股関節全置換術

術後もリハビリを含め、内科療法を実施する必要があります。

以上が股関節形成不全の説明でした。特に大型犬を飼われた方で、歩き方がおかしいと感じた場合はぜひ一度病院で診てもらいましょう!

獣医師 日向野