病気

胃腸炎、流行ってます!

sick-dog

胃腸炎、流行ってます!!

 

こんにちは、今の時期はフィラリア予防で来院される方が多い時期ですが、4月の僕のハイライトは、胃腸炎、胃腸炎、胃腸炎!!でした。

 

冬から春に切り替わる月なので、寒暖差によるストレスやアレルギーにより、元々消化器疾患は多くなりがちな季節ですが、今年はその重症度が例年より高かった印象があります。

 

基本に立ち返り、胃腸炎の主な原因ですが、

感染性(細菌、ウイルス、寄生虫)、食事性、薬物・中毒性、異物、ストレスなどが挙げられます。

 

検査内容としては、実際の症状に応じて、主に血液検査、糞便検査、超音波検査などを実施していきます。症状が下痢のみで、食欲も元気もある場合は、まずは糞便検査から行うことが多いのですが、今年は嘔吐に下痢、食欲廃絶、活動性低下全てを伴う子が多く来院されたので、普段よりも血液検査や超音波検査を実施する機会が多くなりました。

 

実際に超音波検査を当てると、しんどい状態の子の多くがこのようなウネウネの腸になっていました。僕らはこれを「コルゲートサイン」と呼び、重度の胃腸炎の指標の一つとして診断しています。さらによく見ると、腸の中が黒く抜けて見えますが、これは腸を通過途中の消化物であり、渋滞を起こしている「腸の鬱滞」所見になります。

unnamed

調子の悪そうな子は、軒並みこのような胃腸の鬱滞が見られ、「これじゃ食べても腸が動いてくれないから吐いちゃうよな~」、と感じたりします。

 

治療としては、点滴、制吐剤、消化管運動改善薬、下痢止めなど対症療法がメインになります。加えて感染が疑われた場合には、抗菌薬や駆虫薬なども投与していきます。

自宅では、重症度に応じて、消化性の高いふやかしごはんや液体食を指示する場合もあり、与えるときは少量頻回を心がけて頂きます。こういう時はドライフードはうまく消化できず、さらに嘔吐を助長することもあるので、あまりおすすめしません。

 

治療経過としては、一度の治療で改善が見られる子から、何日かかけないと良くならない子もいますので、治療反応をみながら治療強度を判断していきます。

 

原因がはっきりしないことも多いのですが、犬や猫ではストレスなどが消化器症状を起こしやすいともいわれてるので、環境変化(引っ越し、知らない人の訪問、旅行、出産など)、食事変化(フード変更、おやつ)、気温差などの起こる機会にはよく体調を注意深くみてあげましょう。

 

体重の軽い子や子犬ちゃんでは、1日2日の食欲低下でも命に関わるので、下痢や嘔吐が見られたら、油断せず早めの受診をおすすめします!

春はフィラリア予防だったりアレルギー、胃腸炎と来院する機会が多く大変な時期ですが、一緒に乗り越えていきましょう!

 

獣医師 木村