病気

顎嚢胞

おはようございます。

今月は歯科疾患に分類される顎嚢胞についてお話ししたいと思います。

顎嚢胞とは、顎骨内に形成された空洞に液状内容物が充たされた病的嚢状構造物です。炎症性嚢胞と歯原性(発育性)嚢胞に分類され、歯原性嚢胞はさらに原始性嚢胞、歯根性嚢胞、含歯性嚢胞に細分されます。

原因は歯の発生過程においての異常や遺残物、炎症によって嚢胞が生じることです。放っておくと歯の変位や骨吸収を招き、歯の喪失と顎骨の崩壊を起こすため早期の診断と外科処置が必要となります。

ちなみにちょっとマニアックですがそれぞれの歯原性嚢胞の説明は以下の通りです。
①原始性嚢胞
歯堤と呼ばれる歯の発生過程における最初の陥入部分の遺残物が原因で歯槽骨に嚢胞ができる状態
②歯根性嚢胞
マラッセの遺残上皮と呼ばれるエナメル質形成時の遺残物が原因で歯の根元に嚢胞ができる状態
③含歯性嚢胞
歯の萌出時に歯と歯茎の接合上皮となる退縮エナメル上皮が、歯が萌出できなかった際に嚢胞化した状態

診断は、口腔内所見(歯肉に半球状の膨隆を認める)、触診、レントゲン(境界明瞭な骨透過像)、腫瘍性病変の否定によって行われます。

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治療は外科処置にて歯槽骨から嚢胞をしっかりと取り切ることです!(必要であれば抜歯も行います)

顎嚢胞は早期発見と早期治療が大事となるため、お口の中に何か異変があった場合はお早めにご相談くださいね。

獣医師 澤