病気
肛門嚢アポクリン腺癌
こんにちは。
今月は肛門嚢アポクリン腺癌についてお話したいと思います。
肛門嚢アポクリン腺癌は肛門嚢という肛門の4時と8時の位置にある肛門嚢から発生する腫瘍です。
雄雌による発生率の差はありません。
特徴の一つとしては、上皮小体ホルモン関連蛋白質の産生によって高カルシウム血症になりやすいこと(25~30%)が挙げられます。また、肺転移は比較的少ないのですが、局所リンパ節(特に腰下リンパ節や腸骨リンパ節)への転移は多いとされています。
症状としては、会陰部を舐める(30%)、肛門付近からの出血(24%)、多飲多尿(22%)、後肢の虚弱(18%)などです。
予後因子としては 以下の3つの項目が挙げられます。
・高カルシウム血症の有無
・肺転移の有無
・腫瘍サイズ(10㎠を超えるか超えないか)
治療としては外科切除、化学療法、放射線治療が挙げられますが、データ上は化学療法のメリットは少ないように思われますね。
診断のきっかけで多いのは飼い主様からの稟告(しこりの触知)です。
皆さんも肛門嚢の位置で何か違和感を感じた場合はいつでもご相談くださいね。
獣医師 澤