病気

尿閉の予感……

こんにちは、獣医師の木村です。今年は残暑が続きましたが、2,3日で一気に冷え込みましたね。なぜか尿閉症例の遭遇率が高い私ですが、今回はそんな寒くなってきた時期に増える病気、時にオス猫ちゃんで多い「尿閉」についてお話します。

 

<尿閉とは?>

尿路閉塞のことであり、閉塞する尿路は尿管と尿道の二つがあります。今回は、尿道での尿路閉塞について説明します。

尿は腎臓で血液から作られ、腎臓→尿管→膀胱→尿道の順で排泄されます。

なんらかの原因で尿道が行き止まりになり、尿が出せなくなる状態が尿道閉塞です。

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<原因>

原因は主に結石、尿道栓子(炎症産物の塊)、凝血塊、腫瘍、前立腺肥大による圧迫などが挙げられます。

比較的遭遇頻度が高いものが尿路結石による閉塞です。寒くなってくると、飲水量の減少や活動性の低下、それに付随する排尿回数減少、また肥満傾向からのさらなる活動性の低下を引き起こし、結石ができやすい状態になります。

 

<症状、徴候>

ネコちゃんが示してくれるサインは、何度もトイレに行く、トイレにこもっているが尿が出ていないというのが多いです。加えて、食欲低下や嘔吐が伴っていると疑わしくなります。さらに重篤な状態だと、ぐったりして動けなくなる子もいます。

 

<診断>

診断は、ほとんどが触診でパンパンになって膀胱を触知し、その後尿道の開通性を確認することで行います。

 

<治療>

治療は、いち早く尿道の閉塞を解除して尿を出すことです。その後は、膀胱を休ませるために尿道カテーテルを設置して入院になるケースが多いです。

 

治療が遅れると、以下の合併症が重篤になります。

・腎不全

・高カリウム血症→不整脈→心停止

・感染症

・膀胱アトニー(膀胱を伸び縮みさせてる筋肉の線維化)

 

<予防>

元々生物として飲水量の少ない猫ちゃんですが、普段からどれくらい飲水できているか、少ない場合は水分量の多い缶詰やパウチを増やしてあげることも予防になります。

また、1,2歳の若い猫ちゃんでも多い病気なので定期健診の血液検査に膀胱の超音波検査をしてあげることでも予防につながります。

 

 

尿閉はいかに早く気づいてあげられるかが肝です。1日以内に気づいて治療できた場合は、回復も早い傾向がありますが、3,4日もそのままだと、最悪亡くなってしまうこともある怖い病気です。

 

一緒に暮らしているネコちゃんが、上記のような症状が続く場合は一刻も早く受診して助けてあげましょう。

 

獣医師 木村(お水は1日2リットル!)