病気

副腎皮質機能低下症の診断と治療について

こんにちは、今月はちょっと稀な病気、副腎皮質機能低下症についてお話しします。

副腎皮質機能低下症とは

副腎皮質ホルモンの欠乏によって引き起こされる症候群のことを言い、アジソン病とも言います。副腎皮質では、グルココルチコイドとミネラルコルチコイドの2種類のホルモンが分泌されますが、それらの欠乏が生じることで発症します。両方が欠乏したものが定型、グルココルチコイドのみが欠乏したものが非定型、その他にも下垂体や視床下部の異常に起因する場合もあります。発症の多い年齢は4-5歳ですが、どの年齢でもなり得る病気です。

症状

食欲低下、元気がない、嘔吐、下痢、体重減少、ぐったり、震えなど非特異的で様々です。ひどい場合は、アジソンクリーゼといい、低体温、徐脈、血圧の低下などが見られ、緊急対応が必要な場合もあります。

診断

典型例では、血液検査で主に定型で電解質の異常が見られることが多く、コルチゾールというホルモンの数値が低くなります。その他画像検査などを用いて総合的に診断を行います。

治療

欠乏してしまったホルモンを補給してあげることになります。残念ながら、この病気は再び副腎からホルモンが出るようになって治るものではないので、診断結果から欠乏していると思われるホルモンを、基本的には生涯にわたって飲み続ける必要があります。

予後

適切に治療がされた場合は、生涯を全うできる場合もありますが、データ上の生存期間中央値(MST:100名患者がいたら、うち50名が亡くなるまでの期間)は4.7年となっています。

頻繁に遭遇する病気でもなく、症状も様々、なおかつ定型でもないタイプは診断までなかなか辿りつかない場合もあるちょっとやっかいな病気です。

心当たりのある場合は、いつでもご来院頂き、ご相談ください。

獣医師 木村(副腎疲労気味?)