子宮蓄膿症とは?
みなさんこんにちは!
夏が本格的に始まってとても暑くなってきましたね!☀️
毎年暑くなっていっている気がしますが、しっかり暑さ対策をしてください!!
さて今回は、『子宮蓄膿症』についてお話ししていこうと思います。
子宮蓄膿症とは
子宮の内膜が厚くなり、そこに細菌感染が起こることで膿が貯まったものであり、陰部から排膿があるかどうかで開放性と閉鎖性があります。未避妊の子で、平均8〜10歳で発症することが多いと言われています。発情出血後の1〜2ヶ月ごろが多く、細菌の影響で重篤な状態となり、命に関わる疾患です。
原因
排卵後に黄体ホルモン(プロジェステロン)が約2ヶ月間続くことによって、子宮内膜が増殖し、嚢胞状構造を形成します。ここに細菌感染が起こることで子宮蓄膿症を発症します。子宮と膀胱は構造的に近い位置にあるため、膀胱炎などの尿路感染症も頻発することが多いです。
症状
- 飲水量が増える
- 尿量が増える
- 嘔吐
- 食欲不振
- 元気消失
- 陰部からの排膿
- 腹部が張っている
- 発熱
治療が遅れるとさらに重篤な状態となるため、早期発見が重要となります。
診断
エコーやレントゲンなどの画像検査にて子宮に膿が貯留しているのを確認します。また全身状態の把握のために血液検査を実施します。陰部からの排膿がある場合はその性状を調べることで細菌や炎症細胞である好中球を確認することで、子宮蓄膿症と判断することもあります。
治療
第一選択として外科手術が実施されます。子宮蓄膿症では重度だと多量に体内に細菌がいる状態になるため、手術によって取り除くことで状態の悪化を止めることが大事になります。手術自体は避妊手術と同じ術式ですが、子宮が破れやすくなっていたり、すでに状態が悪く麻酔リスクが高い状態で実施しなければいけなかったり様々のなリスクはあるでしょう。


左の写真は手術時に腹腔内から取り出した状態、右の写真は切除した後の状態
子宮の膿が少量で状態がよかったり、かなり高齢である場合は内科治療として抗生剤の投与や点滴などを実施する場合があります。ただし、多くの場合一時的に改善がみられても、次の発情でさらに状態が悪くなってしまう恐れがあります。
以上が『子宮蓄膿症』という病気でした。放っておくと死に関わる病気なので、おかしいなと感じたらぜひお早めにご来院ください。
獣医師 日向野