病気
猫の巨大結腸症
みなさんこんにちは、まだ暑い日々が続いていますがいかがお過ごしですか?
今回は猫の便秘の原因の1つとして見られることがある巨大結腸症についてお話しします。
原因
巨大結腸症が起こる原因には器質性(骨盤骨折、骨盤内の腫瘤、異物、会陰ヘルニアなど)と機能性(脱水、甲状腺機能低下症、自立神経障害、特発性など)に分けられます。便秘になる原因は巨大結腸症以外にも行動学的要因(環境の変化、汚れたトイレ)や薬物(オピオイドなど)、肥満などがあります。特に機能性巨大結腸症の特発性は62%もあり、中年齢の雄に多いと言われています。
症状
巨大結腸症によって便が多量に貯留することで、さらに結腸の筋肉が伸びてしまい、自分で排便ができなくなってしまいます。それによって以下のような症状が見られるようになります。
- 排便できずしぶりが見られる
- 排便時の疼痛
- 食欲不振
- 嘔吐
- 脱水
- 体重減少
診断
貯留が多量の場合は触診でも便が確認できます。さらにレントゲンによって貯留した便を確認します。
治療
まずは内科管理を実施することが多いです。便秘の症例では脱水していることが多いので、その場合は皮下点滴などを実施します。
①食事療法:食物繊維を多く含む食事に変更することで速やかな排便を促します。
②瀉下薬:下剤や消化管蠕動亢進薬によってさらに排便を促します。
③上記2つの治療でも排便がない場合は摘便を実施し、必要に応じて浣腸を実施します。
④これらでも排便をコントロールできなければ外科手術が必要となります。
以上が猫の巨大結腸症の説明になります。大事なことは便秘は早期発見が理想であり、経過が長いと命に関わる危険性があることです。もし何か気になることがあればぜひ一度ご来院ください。
獣医師 日向野