病気

股関節脱臼について

こんにちは!今年も金木犀の香りがする時期になりましたね。🍂今月はわんちゃんの股関節脱臼についてお話しします。

股関節脱臼は、全ての関節脱臼の中の90%を占めるといわれています。原因としては交通事故が最も多いとされていますが、特に小型犬ではソファからの落下やフローリングで滑ったりすることでも発生し、その他股関節形成不全やレッグ・カルベ・ペルテス病などの基礎疾患の存在よって起こることもしばしばです。

症状

症状は、急にキャンと鳴いてその後から3本足で歩いたり、脱臼の痛みから触られることを嫌がったりすることが多いです。

診断

診断は、まずは身体検査で歩行状態や四肢の向きの異常、姿勢などから脱臼を確認します。そして、レントゲン撮影をすることで脱臼の確認に加えて脱臼している方向がわかります。最も多いのは頭背側方向で犬の股関節脱臼の78%を占めます。

治療

治療は、できるだけ早期の整復が望まれます。多くの症例で非観血的整復といって、まずは手術しないで関節を元の位置に戻すことを試みます。しかし非観血的整復での再発率はおおよそ50%ほどであり、整復後の包帯によって皮膚炎がひどくなる場合もありますので、適応は慎重に判断していきます。経過が長かったり複数個所の脱臼または骨折が併発している場合、非観血的整復後に再発した場合などは、観血的整復や大腿骨頭切除といった手術によって機能回復を図ります。

観血的整復または大腿骨頭切除をした症例の80%以上で機能回復が得られるとされています。

予防

階段やソファなど高いところから落ちないための落下防止柵や、激しい運動で滑らないように自宅にマットを敷いてもらうことが予防になります、また、ワンちゃんを過度に肥満にさせないことも重要です。

もし愛犬の歩き方がおかしいと感じた場合は、早めに病院でご連絡ください。

獣医師 木村(O脚気味)