お尻に米粒が?!
ワンちゃんやネコちゃんのお尻周りや糞便に米粒みたいな白いものが付いているのを見かけたことはないですか?
もしかしたらそれは寄生虫かもしれません。

瓜実条虫(犬条虫)
ノミが媒介する寄生虫であり、瓜実条虫の虫卵をノミの幼虫が食べ、ノミの体内で瓜実条虫が発育します。
体の中に瓜実条虫を持ったノミがワンちゃんやネコちゃんの体の表面に寄生し、そのノミをグルーミングなどで舐めて経口摂取することで感染します。
口から入るとまず胃に行き、小腸まで移動すると小腸で成虫になり、腸粘膜にくっついて成長します。
成長した成虫は、米粒がたくさん連なったような見た目をしており、その1個1個を老熟片節と呼び、老熟片節は切り離されて糞便中に出てきます。成虫の体長は50~70cmに達します。
この老熟片節の中にはたくさんの卵が含まれており、それをまたノミが食べて、ワンちゃんやネコちゃんに寄生してというような感じでサイクルがぐるぐるします。
主に中間宿主であるノミ(イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ)を介して終宿主の犬猫に感染して増えますが、稀に人に感染することもあります。イヌハジラミを介して感染することもあります。
人の場合は、瓜実条虫に感染したノミを潰したてなどから経口感染します。特に乳幼児の患者さんが多いです。

真ん中の大きいのが瓜実条虫の卵嚢です。
卵嚢の中に10数個の虫卵を含んでいます。
虫卵は六鉤幼虫と呼ばれ、すでに中間宿主に対する感染力を持っています。
症状
初期は無症状のことが多いです。
糞便に片節が確認されます。
片節がお尻から出入りする際に痒みを生じることがあるため、その場合はお尻の辺りを引っ掻いたり擦り付けたりします。
大量に寄生すると便秘と下痢を繰り返す消化器症状などが認められます。
人では、下痢、腹痛、倦怠感などを引き起こすことがあります。
治療
プランジクアンテルが瓜実条虫の駆虫薬です。
錠剤タイプはワンちゃんネコちゃん共にあり、スポットタイプのものはネコちゃん用のものがあります。
ノミを見つけたら
ノミを見つけた場合は、人にも感染する恐れがあるため、潰さずにセロハンテープで取り、粘着面を半分に折って捨ててください。
ノミは13℃以上で成長できるため、家の中では1年中生きられます。
1匹いる場合、もっとたくさんのノミが潜んでいる可能性があります。
目に見える成虫は全体の5%程であり、残りの95%は卵•幼虫•蛹の状態でいます。
そのため予防薬をかかさずに使うことで様々な病気の予防にもつながります。
お尻周りを気にしていたり、米粒のような白っぽいものが付いていたら直接手で触らずに病院に連れてきていただければと思います。
獣医師 児島🐾