病気

皮膚組織球腫

今回は皮膚にできる腫瘤の1つである皮膚組織球腫についてお話ししていきます。

皮膚組織球腫とは

組織球は免疫に関連する細胞のことであり、これが腫瘍のようになることで皮膚に腫瘤として観察されます。犬によく見られる良性の腫瘤であり、原因はわかっていません。多くは3歳未満の若い犬に見られ、好発犬種はボクサー、ダックスフンド、コッカー・スパニエル、グレート・デーン、シェットランド・シープドッグ、ブル・テリアです。多くは1〜4週という短い期間で2〜3cmの皮膚のできものとして見られます。ただし、皮膚組織球腫の特徴として腫瘤形成後に約1〜2ヶ月後に免疫が活性して自然に消失していきます。

症状

皮膚組織球腫は赤いドーム状のできものとして見つかり、表面は毛がありません。頭部(顔面)、耳、前肢および後肢に最も多く発生すると言われています。基本的には痒みや痛みは伴いませんが、時に潰瘍化、感染、痒みを伴いQOLが低下する場合もあります。

診断

診断には細胞診(注射針を刺して細胞を採取し、どのような細胞が見られるかの検査)を実施し、皮膚組織球腫では特徴的な細胞が認められます。これは皮膚組織球腫であることの確認と、他の腫瘍の可能性がないかの検査として実施されます。

治療

多くは自然退縮するため、無治療経過観察となることがほとんどです。ただし、潰瘍や感染などで痒みが強い場合は自然退縮を待つことが困難なので外科切除を実施する場合があります。

まとめ

皮膚組織球腫は比較的若い子で発生する良性の腫瘤なので、写真と同じような腫瘤が見られたら可能性は高いです。しかし、いずれ自然退縮すると言っても、一度は皮膚組織球腫であることを確認しておくべきでしょう。若い子でも発生する他の腫瘍もあるので一度検査することを推奨します。

獣医師 日向野