乳歯遺残🦷
犬猫さんも人と同じように生まれてから歯が一度だけ生え替わる二生歯性の動物です。
サメなどのように一生に何度も歯が生え替わる多生歯性の動物もいます。
ウサギさんは歯の生え替わりは犬猫さん同様一度きりですが、切歯と呼ばれる前歯は一生伸び続ける常生歯性の動物です。
犬猫さんの歯は生後100日くらいから生え替わりが始まります。
小型犬や短頭種は歯の生え替わりが遅くなる傾向にあります。
歯の生え替わりの順序としては、切歯(前歯)、前臼歯(奥歯の手前)、犬歯(牙)、後臼歯(奥歯)の順で起こることが多いです。
通常、切歯や臼歯は乳歯と永久歯が共存する期間はほぼありません。あっても数日間です。
犬歯は数週間共存することが多いです。
永久歯が乳歯を押し上げることで乳歯から永久歯へスムーズに生え替わるようになっていますが、乳歯が上手いこと抜けないと乳歯と永久歯が並んで生えてしまう状態が生じます。
並んで生えている場合でも、2週間以内に乳歯が抜けてくれれば問題はありません。
何ヶ月も乳歯と永久歯が並んで生えていると永久歯の歯並びが悪くなる原因になったり、歯と歯の隙間に歯垢が付きやすくなり、上手に歯磨きができていないと3日程で歯石に変わってしまいます。
歯並びが悪い場合、通常当たらない歯肉や口唇に歯が当たることで痛みが生じて食事を食べるのを躊躇する、痛みがひどいと元気の低下に繋がる子もいます。
歯を抜くためには麻酔が必要なため、避妊手術や去勢手術のタイミングで行うことが多いです。
また、生後半年以降になっても永久歯が生えてこない子の場合、永久歯がない欠歯と呼ばれる状態のこともあります。
その場合は乳歯を抜いてしまうとその部分だけ歯がなくなることになるので乳歯は抜かずに残しておきます。
永久歯がいるかどうかの確認は、麻酔下で歯科用のレントゲンの機械を使って撮影して確認します。
歯科用のレントゲンに関しては、以前のブログに書いていますのでお時間ありましたらご覧いただけたら嬉しいです。
歯のレントゲンを撮り、永久歯の存在が確認できた場合は永久歯が生えてきやすいように乳歯を抜いてあげます。
乳歯が残り、歯の本数が増えることで歯と歯の隙間が増えるためその分歯磨きが大変になったり、歯並びが悪くなり歯肉に当たって痛みを生じるなどの通常では起こらない問題が起こる可能性があります。
子犬さんや子猫さんを飼われている方はお家の子の乳歯の生え替わりの状態を確認してみてください。
見ても分かりにくいこともあると思いますので、お気軽にご相談いただければと思います。
獣医師 児島🐾