病気

多血症

こんにちは。
今月は多血症(赤血球増多症)という病気についてお話ししたいと思います。
多血症とは文字通り、体の中で循環している血液中の赤血球が通常より多い状態を指します。貧血で血が足りないよりは良いんじゃないか?と疑問に思われるかもしれませんが、多血症の状態は血液が「ドロドロ」なので血栓症になりやすく危険が伴います。

では、どのような病態で血液中の赤血球の割合が増えるのか?をいくつか紹介していきます。
①脱水:単純に水分不足で血液が濃くなります
②血液循環における酸素不足:肺疾患や心臓疾患が主な原因で酸素が足りないので酸素の運び屋さんである赤血球を体が増やしていきます
③腎臓腫瘍:腎臓から出ているエリスロポエチン(赤血球を作るように働きかけるホルモン)が腎細胞が腫瘍化することによって出過ぎてしまい通常より沢山の赤血球が作られてしまいます
④骨髄異常(真性多血症):赤血球を作る工場である骨髄の異常によって赤血球が必要以上に産生されて多血となります

治療は多血に至った原因によるのでまずは鑑別診断が重要になります。
1次要因がある場合はまずはそちらの治療をすること。対症療法としては血液の濃さにもよりますが、定期的な点滴や必要に応じた瀉血がメインとなります。
ご自宅のわんちゃん猫ちゃんで疲労感が強かったり、ふらつきや息切れなどがある場合はご相談くださいね。

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獣医師 澤