うんちと一緒に白い虫が見られたら…
先月はうんちやお尻周りに米粒のようなものがついていたら、というような内容でしたが、
今回はうんちに白っぽい細長い紐の様なものがついていた場合についてお話しします。
線虫類
たくさんの種類が含まれていますが、犬猫さんの便と一緒によく見られる細長の白い虫は回虫、糞線虫、鉤虫、鞭虫あたりかなと思います。
よく見られるのは回虫です。鉤虫や鞭虫はあまり見かけないです。
回虫:感染経路としては、経口感染、乳汁感染があります。
わんちゃんに寄生するものに犬回虫と犬小回虫、猫ちゃんに寄生するものとして猫回虫、犬小回虫が挙げられます。
猫回虫の感染源としてネズミが挙げられるため、特に野良猫さんは感染リスクは高いです。
糞便検査では、虫卵の形態で犬回虫 or 犬小回虫、猫回虫 or 犬小回虫を判断します。
犬回虫と猫回虫の虫卵は似ているため虫卵を見ただけでは判別は難しいですが、犬小回虫と犬回虫•猫回虫の区別はしやすいです。
人獣共通感染症です。
↓回虫卵

糞線虫:感染経路として、経口感染、経皮感染、犬では自家感染(自分の体内で感染が回る)があります。
犬にも猫にも感染します。
人獣共通感染症です。
鉤虫:経口感染、経皮感染、乳汁感染、胎盤感染と色々な経路から感染します(猫鉤虫は胎盤感染なし)。
わんちゃんは犬鉤虫に、猫ちゃんは猫鉤虫に感染するリスクがあります。
汚染された土から感染するため注意が必要です。
他の線虫類とは虫卵の形態で区別します。
犬鉤虫は人獣共通感染症です。
鞭虫:感染経路は経口感染で、わんちゃんは犬鞭虫に感染するリスクがあります。
重度の寄生で粘血便が見られることもあります。
虫卵はラグビーボール状で回虫などに比べると特徴的な形をしています。
症状
回虫の単独感染では無症状のことが多いです。
腸管に感染して消化器症状、幼虫による神経症状や眼症状が認められることもあります。
糞線虫は、水様粘液性の下痢が見られます。
鉤虫は、小腸粘膜に噛み付くため消化管出血による黒色便や貧血症状が見られます。
肺にも移行するため気管支肺炎や子犬の肺では出血や微小出血(点状出血)による小紫斑が認められることもあります。
鞭虫は、下痢治療のお薬に反応しない大腸性の下痢が長期間認められます。下痢は、黄色軟便から重度粘血便まで様々です。
長期間下痢が続くと、毛がゴワゴワしたり、体重の減少など栄養状態の低下が認められます。
治療
わんちゃんの場合は、食べるタイプの駆虫薬があります。ノミダニあるいはフィラリア•ノミダニも一緒に予防できるものです。
猫ちゃんは、皮膚に垂らすスポットタイプの消化管内寄生虫を駆虫できるお薬があります。
その他では、皮下に注射する方法もあります。動物さんの負担を考えると食べたり付けるだけの方が注射時の痛みは減らせるかなと思います。
人にも感染するリスクもあるため、うんちに虫っぽいものが見られた際は、うんちの処理をした後にしっかり手洗いをしましょう。
また、再感染を防ぐためにうんちが付いてしまったものは処分するかキレイに洗うようにしてください。
獣医師 児島🐾