病気

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)について

今回も内分泌系の病気、副腎皮質機能亢進症についてお話しします。以前に木村先生が紹介してくれた副腎皮質機能低下症については、よければリンクからご覧ください。

副腎皮質機能亢進症とは

副腎は腎臓の頭側に両側に存在し、特に副腎皮質と言われるところから副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌され、体にさまざまな影響を及ぼす病気です。原因として、下垂体性と副腎腫瘍性に別れており、ほとんど(85%)が下垂体の腫瘍によるもので、多くが良性、一部が悪性となります。一方副腎自体が腫瘍化するものもあり(15%)、片方の副腎から過剰にコルチゾールが分泌されます。また、時にステロイドの長期投与によって発症するケースもあります。6ヶ月齢から17歳まで発症年齢は幅広く、平均発症年齢は12歳と言われています。

症状

  • 多飲多尿
  • 多食
  • お腹が張っている
  • 左右対称性の脱毛
  • 息切れしやすくなる

特に多飲多尿が95%以上の症例で認められることが多いです。多飲と言われるのは、犬では24時間での飲水量が体重×100cc以上、猫では体重×50cc以上です。多尿に関しては測定は難しいですが、犬猫ともに24時間の排尿量が体重×60cc以上です。まずは飲水量を測定してみましょう!

診断

まずは問診及び身体検査、血液検査、エコー検査、尿検査を実施します。問診及び身体検査は上記の症状で認められる異常を検出します。血液検査では肝数値の上昇や血中コルチゾールの異常を確認し、尿検査では多飲多尿の影響による低比重尿を観察します。エコー検査では副腎のサイズを評価し、大きくなっていないかを確認します。最終的に下垂体から分泌されるACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を外部から投与し、コルチゾールの変化を測定するACTH刺激試験というもので診断します。また、下垂体腫瘍および副腎腫瘍についてCT検査が実施される場合もあります。

治療

基本的には内科的治療が推奨され、コルチゾールの分泌を抑えるトリロスタンという薬が使用されます。既におかしくなってしまった下垂体や副腎の影響で過剰に分泌され続けているので、通常は生涯投与になります。数ヶ月おきにACTH刺激試験を実施し、コルチゾールが良好なコントロール範囲内におさまるように投与量を調整します。

一方下垂体腫瘍や副腎腫瘍に対して外科治療放射線治療が選択されることもあります。

以上が副腎皮質機能亢進症の紹介になります。重要なことは症状が何かしっかり把握することです。特にやはり多飲多尿が多いので、『最近飲水量が多い』という理由で来院されることが多いため、普段からしっかり観察しましょう!

獣医師 日向野